政権交代で仏教は、、、、ごにょごにょ

ちょっと前にこんなニュースがあった。
覚えておられる方もおおいだろう。




キリスト教は独善的」と小沢氏、仏教は称賛
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091110/stt0911102121020-n1.htm



キリスト教が独善的かどうかはここでは問題ではないし、小沢一郎という政治家の性格からして、この発言はこの会談に耳目を集めるためにわざとやったんじゃないかと訝しんでしまうくらいだが、とにかく問題はそこにはない。つまりなぜ小沢氏は早々に高野山に詣でたのかということである。

小沢氏の喫緊の課題は参院選に向けての自民地盤の切り崩しである。逆に言えば仏教界は自民党の牙城なのだが、ではどういうふうに牙城なのか。


たとえばこんなかんじ。

http://www9.ocn.ne.jp/~zbr/02_6_yakuin.htm


有力な寺社仏閣には必ずといっていいほど文化財がある。大名武家の庇護を受けていた大昔ならいざしらず、いまは国の補助なしには莫大な費用がかかる文化財の保存・修理は不可能に近い。ちょっとした国宝でもかんたんに億はかかるのよ。そこで寺社仏閣は全文連のような団体を作ってロビー活動をしてきた長い歴史がある。そして寺社仏閣と文化庁、学者、修理を請け負う専門業者、そして文教族が一体となって戦後ずっと「文化財(行政)」という業界を形づくってきた。自公政権になってからは仏教界として自民を支えるのが難しくなったので、文化財を通しての関係がますます重要になった。

この業界に流通しているマネーは、そのほとんどが補助金つまり税金である。しかも「国の宝を守る」という大義があるので、道路みたいなのとは比べものにならないほど小規模だけど、業界を支えるだけの税金はぶんどってこれた。しかしここ十年で行財政は破綻しかけたので、国は「国指定文化財」を必要最小限度に押さえることで補助金を減らし、かわりに県や市町村指定の文化財にすることで地方自治体から金を吐き出させた。

当然のことながら、近年はそれでもなかなか回らなくなってきてた。正直かなりヤバかったのである。



国宝修復費 16府県減額 大阪府は財政難でゼロ
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20091206-OYO1T00223.htm?from=main1



さらっと書いてあるが、すでに大阪長野福島は自治体として文化財に一銭も金を出していない。これは私見だが、文化財の修復にかかる金は国から五割、自治体と所有者である寺社仏閣が残り半分を折半というところが多いように思う。だとすると25%の金が消えたのである。

以前のように潤沢な補助が無理だと感じた寺社は拝観などの観光収入を増やすために努力し、経産省がらみで観光支援関連の補助金を獲得するなどの活動をしてきた。しかしそんなことができるのは一部。すっかり文化財行政は崩壊寸前で自民党との関係もそろそろだなーだけど他にパイプなんかないじゃんと思ってたところに、ほんとに政権交代が起こって、これまでのパイプやロビイングはパーになった。民主党とパイプがあるのは対創価学会対策をしてきた立正佼成会ぐらいである。まさに茫然自失、お先真っ暗だった寺社仏閣の目の前に、政権交代早々に忽然と小沢一郎が登場したのである。


ただ問題は、小沢氏が仏教界を支援母体としてどこまで重要視しているかということだが、創価学会に対抗できる宗教勢力という価値以外には、いまんとこ仏教界に政治的な価値はない。仏教界も政治的には中立が建前だから表立っては何も起きないでしょうし。小沢氏もそれをわかってるだろうし。

しかし、しかしだよ、そんなこと百も承知で小沢氏が高野山に登ったってところにほんといろんな香りが漂ってるんだけど、よく云われるのは中国との外交がらみでの可能性で、周恩来以来創価学会さんもけっこうなパイプがあるんだけど、いっぽう中国や韓国、台湾の仏教界と日本の仏教界とのあいだにも結構なパイプがずっとあるのでして、学会ラインとの対抗ということも加味して小沢さんが仏教界に近づいた可能性が全くゼロというわけでもない、ということをほんのり漂わせておくのがこのエントリのミソなわけで。