マスクなら持ってるぞ。

マスクというものがウイルス拡散に効果はあってもウイルス侵入の防止にはほとんど効果がないということを、もしマスクをしている人全員が分かってマスクをしているのであれば、つまり他人にウイルスをうつしてはなるまいと不自由なマスク生活に甘んじているのであるとすれば、これほどすばらしい国民は世界のどの地域にも存在しますまい。「友愛」などと声高に叫ばずとも、わが国民はすでに友愛に満ち満ちているのであります。

しかし現在、すくなくとも関西でマスクをつけておられる人びとは「不安だからとりあえず」「ないよりまはマシ」「みんなしているから」「していないと会社や学校で白い目で見られる」「というか所属先において強制的に着用を義務付けられている」等々の理由でマスクをしておられる方がほとんどであります。

人びとは社会全体の福祉ではなく、世間の論理や純粋な恐怖に基づいてマスクをしているのではありますが、しかし、このような行動のほうがより人間らしくみえます。みんな目先のことしか考えてませんということでよろしいのではないかとおもいます。

社会の前提が崩れたとき、人はとっても人らしく行動します。簡単に殺し合い奪い合いだまし合うレベルに達する。野生に帰るとも云える。

しかしそのことについて私は怒りません。絶望してもいないし嘆いてもいません。だって諸行無常という言葉は「物事は移り変わっていく」ということを云っているのではなく「この世に確かなものなどひとつもない」ということを云っているのですから。

ただ私は、社会がプチ崩壊したなかで人びとが右往左往する様をこの目でしっかり見据えたいのです。そのためには健康でなければなりませんので、去年の時点でちゃんとアイリスオーヤマ製の高機能マスクを箱買いしてあります。まだ40枚近く備蓄がありますから余裕です。さらにイスラエル製のガスマスクもちゃんと準備してあります。イラク戦争のときイスラエル政府が全国民に配った簡単なガスマスクです。大量生産されているからひとつ1000円くらいです。

私は生き残る気満々なのであります。人間らしい世界を生きるとはこのようなことではないかと、ニュースを見ていて思います。